HIVとエイズの基礎知識

HIVとは

HIVは『Human Immunodeficiency Virus』の頭文字で、ヒト免疫不全ウイルスのことです。HIVに感染すると2〜4週間後に発熱、リンパ節の腫れ、頭痛などの風邪に似たような症状が出る場合がありますが(初期)、ほとんどの人は症状を感じることはありません。感染後2〜8週間で血液中にHIV抗体ができます。そして自覚症状のないまま数年間の潜伏期間に入ります(無症候期)。ヒト免疫不全ウイルスは、免疫の中心であるヘルパーTリンパ球(CD4細胞)という白血球に感染し、免疫力を低下させます。


エイズとは

エイズ=AIDSは『Acquired ImmunoDeficiency Syndrome』の頭文字で、後天性免疫不全症候群のことです。エイズは、HIVに感染することによって発症する病気です。免疫力が低下すると、自分の身体の中で抑えることができるはずの病気を発症するようになります。それらは『日和見感染症』といって23種類の疾患があります。カンジタ症、ニューモシスティス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、悪性リンパ腫、カポジ肉腫などの疾患があると『エイズ発症』と診断されます。


HIVに感染しても治るの?

HIVの感染症に対しての治療薬などは数年前からとても進歩して、エイズ発症を予防することができるようになりました。治療法として作用の異なる種類の抗HIV薬を服用します。しかし、まだ完全にHIVウイルスを身体から取り除く治療法はありません。それでも、エイズを発症しても治療で免疫力を高めることにより、感染前と変わらない生活を送ることができます。HIVの感染が検査などで判明したらすぐに医療機関を受診して、適切な治療を受けることが重要です。


HIV感染経路

HIVの感染は主に3つの経路が考えられます。
【性行為による感染】HIVウイルスは主に血液や精液、膣分泌液などに多く含まれていて、性行為中に性器や肛門、口腔などの粘膜や傷口から感染します。
【血液を介しての感染】HIVウイルスが存在する血液を輸血したり、違法薬物(覚せい剤など)の注射器回し打ちなどが原因で感染します。日本国内での献血による血液は厳重な検査により最高水準の安全が確保されていて、感染の可能性はとても低くなっています。
【母子感染】母親がHIVに感染していると妊娠中や、出産時、授乳時に赤ちゃんへ感染することもあります。母親が抗HIV薬の服用、帝王切開での分娩、母乳を与えないことなどで赤ちゃんへの感染を1%以下に抑えることができます。
上記の感染経路以外では感染の恐れがないことが分かっていますので、HIV感染を防ぐには性行為を行う時は必ずコンドームを使用して、パートナーとの理解を共有することが重要です。


日本のHIVの現状

2016年、新規HIV感染・エイズ発症患者報告数は1,448件。感染経路は性的接触が87%で、多くが男性同性間によるものです。新規HIV感染者は1,011件(2015年: 1,006件)、新規エイズ患者は437件(2015年: 428件)、累計報告数は27,443件。年齢では、HIV感染者は20〜30歳代、エイズ患者は20歳以上に幅広く分布し、特に30〜40歳代に多い傾向が続いています。



世界の現状

2016年末の調べでは、世界中に3670万人がHIVと共に暮らしています。HIVが流行してから約7800万人がHIVに感染し、3500万人がエイズ発症の疾患により死亡しました。死亡者数は最も多かった2005年よりは減少していますが、いまなお全世界で多くの人がこの病気により死亡しています。